個展『Iの肖像』の物語

Iの肖像

わがままでいること。
それは「わるいこと」だと教わってきた。

聞き分けがよいこと。
それは「よいこと」だと教わってきた。

今閉じてしまった庭の中では、違う形の花は咲けない。
花弁の色を違えてしまったら、千切られてしまう。
咲く向きを間違ってしまったら、痛いのに矯正させられる。
「わがまま」はよくない、「ききわけよく」ねと聞かされながら。
そうして繰り返されるうちに、私は分からなくなった。

私の「かたち」が分からなくなった。

私を象るのに必要だったのは、もしかしたら「わがまま」の中にあったのでしょうか。
誰かに「わがまま」と決めつけられたものの中にあったのでしょうか。

私がこの目で見たかったもの。
私がこの心で愛したかったもの。
私がこの手で絶対に欲したもの。

それらにまとわりつく、激しい感情の全て。

それらが、私のかたちを作っていたのならーー私はわたしを取り戻すために、砕けた「わがまま」を少しずつ拾うことから始めたいよ。

そう願うことくらいは、許されたい。

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『ななついろ洋品店』個展「Iの肖像(あいのしょうぞう)」

12月4日(金)~15日(火)

gallery ARCA

12:00〜18:00
水木定休

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