個展「星雨、未完のラブレター」

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お知らせです。

『ななついろ洋品店』個展情報が公開になりました。

「星雨、未完のラブレター」

とある時代に、強く生きていたある人の細やかな恋のお話です。私からある人への「ありがとう」の手紙代わりの展示になると思います。
私の人生観の中では恋愛の順位は最下位に近く、恋愛とかも正直よく分かりません。恥ずかしながら、よい大人なのですが……でも、2人が生きていたことを伝えるのに、1番似合うエピソードがこの恋のお話でした。

そんな2人への愛の手紙になれたらいいなと思います。

開催期間
12月1日(土)〜24日(月 祝)
*(水)定休日
営業時間
12:00〜19:00
ギャラリーARCA & atelier seed

住所:〒650-0012 兵庫県神戸市中央区北長狭通4丁目7 北長狭通4丁目7-3 元町 フタバビル 201
電話:090-6323-2037

今回も個展用にお話を書きました。
ご覧頂いてから、ぜひ個展にお越しいただければ幸いです。

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「星雨、未完のラブレター」

冬の贈り物の季節は、ブランデー・ティーを傍らに夜なべの仕事。
その仕事中の夜の天鵞絨は優しくて冷たい。
そんな星も凍る真夜中は、貴女のことを思い出す。
貴女の大きくて不恰好なクリームパンみたいな、しわしわで柔らかい、魔法の手を。

貴女のマジックは、誰にでも寄り添えるお洋服を作り上げること。
誰かの「困った」を助ける為に、娘時代は蜜柑箱の机で、たった一つの相棒ミシンと、夜中までカタカタカタカタ。
お仕事に一生懸命な強いつよい、女の人。

誰かの為に作る喜びは、貴女が教えてくれました。

そんな彼女の旦那様は、小さくて白い手の人でしたね。
サイズ感も何だかちぐはぐしていて、ちょっぴりコミカル。
性格だって、反対の不思議なふたり。

「好きになったきっかけって何だったの?」

1度だけ聞いてみたときに、あたたかい手で私の掌を包みながら、貴女は答えてくれました。

「初めて2人で乗った汽車の中で、私の為に初めて蜜柑を剥いてくれた人だったから」

真冬の夜の終わり際は、清々しい芳香が漂う雰囲気がする。
明日の夜は、ふたご座流星群だったろうか?とか。
もうすぐ1番長い夜を越えて、ゆっくり春に向かう季節になっていくのだろうとか。
そんなことを思うけれど、私はただ夜の向こうに願う。

星雨を掻き分ける銀河鉄道の中、ふたりで優しく蜜柑を食んで欲しい。

正反対の掌を重ねて、微笑みながら。